茶道の心は道具を大切にする気持ち。棗の手入れ方法をご紹介

茶道具
2020.7.22

棗(なつめ)とは、抹茶を入れるのに用いる容器で、植物のナツメの実に形が似ていることから、その名が付いたと言われています。
棗を最初に作った人は、室町時代中期の茶人である村田珠光(むらた じゅこう)が活躍していた時代の塗師である羽田五郎(はねだ ごろう)と言われています。
茶道の流派のひとつである表千家では、「茶道具に愛情を注ぎ、しっかりと手入れをすることが茶道具への心である」といっています。
ここでは茶道具のひとつ、棗(なつめ)の手入れ方法や最適な保管場所を紹介していきます。

棗(なつめ)は何に使うもの

茶道具のひとつである棗(なつめ)は、抹茶を入れておくのに使用する容器です。
一口に容器といっても、さまざまな種類や大きさの棗があります。
通常は黒塗りのものが多く、大きさも利休形と呼ばれる大・中・小が基本となります。
利休形とは、お茶で有名な千利休が好み使っていた形のもので、これが今に受け継がれ、棗の基本形となりました。

棗(なつめ)のお手入れ方法

棗は茶器の中でも手入れに繊細さが求められる茶器です。

まず、棗に洗剤の臭いが染みついてしまうので、使用後に洗剤で洗う事はしないでください。

また、棗は湿気に弱いため、お稽古用のプラスチック製のもの以外、水で洗い流す事は厳禁です。
最悪の場合、棗が割れてしまう事があります。
濡れてしまった場合は、すぐ乾いた布でやさしく拭き上げ、しっかり自然乾燥させて下さい。
特に漆塗りについては、濡れてしまうと変色の恐れも出てきますので、水気には十二分に注意を払うようにしましょう。

棗の基本的なお手入れとして、汚れがついた場合や使用後には、帛紗など目の細かい柔らかい布や懐紙、ティッシュペーパーで拭くようにして下さい。
棗の蓋や外側についた軽い細かい抹茶を払うのに、組小羽根を用いるのもよいでしょう。
汚れが目立つ場合は、お湯に浸してよく絞った布で拭いて、さらに乾いた布で拭き上げしてください。

高価な棗については、できる限り帛紗などの柔らかい布や懐紙で優しく丁寧に拭き上げるのがおススメです。

少しでも抹茶が残っているとカビや臭いの原因になるため、面倒でも手間をかけて綺麗にする事が非常に重要です。

一言で「棗」と言っても、形状や素材、塗り方の違いなど、本当に様々な棗があります。
蒔絵・沈金などの加飾を施してある、とても高価なものも。
それぞれの棗によって、ぴったりのお手入れ方法も変わってきます。
その棗にふさわしいお手入れをして、大切に使って下さいね。

棗(なつめ)の最適な保管場所

棗は、保管にとても注意を払わなければならない茶器のひとつです。
棗を使用しない場合は、風が通る場所で湿気の少ないところを保管場所として保管するようにしましょう。
棗は水分を吸い込みやすいものですので、湿気の多い場所で保管していると、カビが繁殖してしまう恐れがあります。
棗は木箱などのように湿気から守れるものの中に入れて保管すると湿気にくくなるでしょう。
乾燥剤を同じ箱の中に入れて保管しておくことも、湿気から棗を守る方法となります。

そして保管する前には、いま一度汚れなどが付いていないか確認するようにしましょう。
抹茶などがついたまま保管してしまった場合、カビや臭いの原因となってしまいます。

また棗は、漆塗りの多い茶器としても有名です。
その漆塗りの塗料は、紫外線に弱いので直射日光に当たるところは避けて、雨に濡れるところに置いておいたり保管することは避けるようにしましょう。

 

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 2020.7.22

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