茶の湯 問わず語り

読み物
2017.12.4

賓は賓たれ、主は主たれ

『賓主同然』、『賓主歴然』とも言います。
『賓』とは賓客、即ち大切なお客様guestのことを云い、『主』とは亭主、即ちもてなす側のhostのことを云います。客と亭主はどちらが偉いということではなく、同等なのですよ《同然》、ただ立場がはっきり違うのですよ《歴然》と教えてくれています。

 例えば、あなたが『お茶事』に招かれたとします。あなたは『客』の立場です。
お茶事の場所や日時はご案内のとおりですが、初めてのことであれば、まず何を着ていけばいいのかというドレスコード、持ち物は?、ご挨拶はどうすれば?と、わからないことばかりで不安になるかもしれません。

でも、心配はいりません。
わからないことなどは『お正客』にお尋ねください。
『お正客』は場慣れたベテランの方ですので、あなたの不安を見事に解決してくださいます。
そして、当日はご亭主心尽くしの『一期一会』を存分に楽しんでください。

 また、『主』の亭主はこの日の為に、露地、お待合い、お席のしつらえは勿論、お道具の取り合わせ、お菓子・お料理、花一輪にまでも心を配り、お客様方に、如何に楽しくひとときを過ごしていただくかということに心を砕きます。
まさに、『開途待賓客ーミチ途を開いて賓客を待つ』です。
お客様の来られる道すがらさえにも細心の注意を払い、亭主は、ただひたすら大切なお客様の来訪を待つのです。
そんな心遣いを『客』は真摯に受け容れ、楽しむことで『亭主』の『おもてなし』に応えます。

 亭主の心遣いを批判・批評したりする言動は『分(立場)』を越えた行為です。
不都合があれば、先ず亭主が気づいています。
『客』がお道具の品定めをすることもNGです。
付けるとすれば相手の点数ではなく、自分の点数なのです。

 亭主の『おもてなし』にその一時を委ねる『およばれ』に出掛けてみませんか。 

 2017.12.4

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