川を歩いてビワマスの遡上・産卵を見に出かけました

スタッフブログ
2023.11.28

こんにちは。
いつもご覧いただき、誠にありがとうございます。
千紀園スタッフ佐藤です。

先日、ビワマスの遡上観察へ出かけました。
ビワマスの遡上・産卵は、湖国滋賀県における秋の風物詩です。

 

ビワマスとは

ビワマスは琵琶湖のみに生息する魚

ビワマスとは、琵琶湖固有のサケ科の淡水魚です。

琵琶湖に注ぐ河川で産卵し冬にふ化した後、ビワマスの稚魚は初夏に琵琶湖へ下り、2年半から3年半ほどの回遊生活を経て成魚となります。

成魚となったビワマス(大きいものでは60cm以上のサイズに成長するとのこと)は、10~11月ごろになると生まれ故郷の河川を遡上して産卵し一生を終えます。

ビワマスは淡水魚ではありますが、海のサケと同じような生活史をもちます。

主な漁期は6月から9月で、10月から11月の間は産卵のため禁漁期間となります。
また、資源保護のため一定の大きさに達していない個体を採捕することは禁止されています。

 

ビワマスのお味は?

ビワマスは湖の幸として人気な8つの魚介類を総じていう「琵琶湖八珍」のひとつとして知られています。
「琵琶湖八珍」には他に、ニゴロブナ・ホンモロコ・イサザ・スジエビ・ゴリ・コアユ・ハスが含まれています。

ビワマスの旬は夏で、『刺身にすると鮮やかなサーモンピンクの身にマグロにも負けない上質な脂がのって口の中でとろける味わいが楽しめ、漁師さんも太鼓判を押す絶品のおいしさ』(引用:滋賀のおいしいコレクション https://shigaquo.jp/foods/4826.html)とのことですが、サーモンに比べるとあっさり繊細な味をしているなといった印象を持ちました。

刺身以外にも、塩焼きやムニエルなどもオススメです。

 

また、産卵期を迎えたビワマスは、秋の大雨で増水した川を産卵のために群れをなしてさかのぼることから、地元では「あめのいお(あめのうお、雨の魚)」と呼ばれるそうです。
あめのいおを炊き込んだ「あめのいおご飯」は、滋賀県の無形民俗文化財に選定されています。

 

ビワマスの遡上・産卵を見に

日本において、北海道以外で街の近くでサケ・マスの遡上・産卵を観察できる場所は非常に珍しいそうです。
滋賀県はその珍しい場所の一つだそうです。


まず11月初旬、千紀園のあります草津市から車で約20分のところを流れる滋賀県最大の河川・野洲川(やすがわ)の下流へ向かいました。
野洲川下流にはコンクリートの魚道(ぎょどう・魚の遡上を妨げないようにするために設けられた、魚の専用道路のようなもの)が設置された堰堤があります。
ビワマスの遡上・産卵がここで行われていることが想像でき、車中ウキウキしながら向かいました。

しかし、いざ現場へ着いてみると、全く魚の姿は見られず…。
この日は近江富士を目の前に見ながら、水切り遊びをしたりきれいな形の石を集めたり、河原でお弁当を食べ、残念ながらビワマスを見ることなく帰路につきました。


次にビワマスの遡上・産卵がもう終わりに近づいている11月中旬、「まだ観察できる」との情報を得て、東近江市の愛知川(えちがわ)支流の渋川へ向かいました。

愛知川は草津市から高速を使って北に約40分ほどのところにあります。
「今度こそ」と川を遡りながら観察するための長靴を車のトランクに積み、また車中ウキウキワクワクしながら向かいました。

森を通ったり草をかき分けるわけではなく、街中からすぐの場所にある駐車場へ車を停め、そこから河原へ下りました。

持参の長靴を履いて、いざビワマスとご対面

 

産卵場所になる岩陰や淵などで数匹のビワマスを観察しながら河原や川を歩き、自作の簡易魚道がある堰堤まで向かいました。

ビワマスが遡上しやすいように設置された魚道

 

簡易魚道ではちょうど1匹だけですが、ピョンと勢いよく魚道を遡上しようとする姿が見られ、感動しました。


帰宅後、設置しておいた水中カメラを確認したところ、雌が産卵場所を作るのに川床を尾びれで一生懸命掘る姿も映っており、再度感動しました。

 

愛知川漁業協同組合の取り組み

今回、ビワマスの遡上を見ることができた愛知川。
その漁区を管理しておられる愛知川漁協では、2年前の2021年より、ビワマスの遡上が始まる10月ころに簡易魚道を自作設置されています。

この簡易魚道の設置作業には一般の方も参加でき、他にも10月から11月の間、ビワマス産卵観察会を行っているそうです。

ビワマスだけでなく他の渓流魚も、こういった自然に親しみ、身近に感じられるイベントを開催されておられるそうです。
ご興味のある方は来年参加されてはいかがでしょうか。

 

 

 2023.11.28

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