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茶の湯の世界で使われる道具の一つ、「炉」について知ろう

茶道具
2018.11.3

茶道の世界で特に大切にされていることと言えば、お客様をもてなす気持ちと、四季を楽しむことです。

器などの道具をはじめ、掛け軸や花など、部屋のあちこちに季節感をもたせ、おもてなしの気持ちがこめられます。
そして、その一つが「炉(ろ)」なのです。

炉についての知識を深めれば、お茶の世界を更に味わい深いものにすることができるでしょう。

炉とは何なのか

炉とは、畳の下に備え付けられている小さな囲炉裏のことを言います。
そもそもは、村田珠光が初めて炉を切り、武野紹鴎と千利休によって規格化されたと言われているものです。

炉は、炉壇(ろだん)と炉縁(ろぶち)から出来ており、畳に切った穴に炉壇を入れ、そこに炉縁をのせて中に灰を入れ、さらに五徳を入れて釜をのせるような作りになっています。

炉壇(ろだん)

炉縁(ろぶち)

五徳(ごとく)

炉釜

炉は季節によって使い分ける

なんとなく想像はできるかもしれませんが、炉は茶席で湯をわかすために用いられるものです。

またこの炉ですが、厳密には2種類あり、5~10月頃の夏季に使われるものを「風炉」、11月~4月の冬季に使われるものを「炉」と言います。

 「風炉」は夏に使われるため、配置はお客様から遠いところにあり、反対に冬に使われる「炉」は、お客様を温められるように近いところにあります。
というとなかなかイメージが湧かないかもしれませんが、畳の上が「風炉」、畳の中が「炉」と覚えると分かりやすいでしょう。

千利休によって侘茶が完成されるまでは、季節に関係なく風炉を使うのが一般的でした。
そのため現在でも、お部屋によっては一年中風炉を使うところもあります。
しかし、炉があればより季節を身近に感じることができるでしょう。

炉開き

11月は茶の湯にとって、「炉開き」が始まるとても大切な節目の月です。

炉開きとは、5月から10月まで閉じていた「炉」の中に火が入れられ、本格的な冬の訪れを感じさせてくれるものです。
そのため茶の湯では、この炉開きという行事は、何事もなく1年を迎えることができたことに感謝する、お正月のようなおめでたいイベントと位置づけられています。

宗派によっても若干の違いはありますが、まず道場の炉に炭点法をして、鰹節や塩、米を炉にまき、柏手を打ちます。
そしてお神酒を頂くのが炉開きの流れとなります。
また、お餅の中に小豆やゴマの入った「亥の子餅」や、ぜんざい、お汁粉などを頂いたりもします。

この日は新しい季節の訪れに、どこか明るい華やかさと、しかし冬の冷たい空気のような、気持ちの引き締まったような一日となります。

 

千紀園の茶道具

 

 

 

 2018.11.3

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