湖国の春の行事「比良八講」に参加しました

スタッフブログ
2023.3.28

暖かな日が続くようになり、こちら千紀園のあります滋賀県でも桜が満開を迎え、一段と春を感じるようになりました。

一般的に「暑さ寒さも彼岸まで」とは言いますが、滋賀県の中でも特に湖西、湖南地域では「比良八講(ひらはっこう)荒れじまい」が来てようやく春が訪れると言われています。

そんな「比良八講荒れじまい」の由来となった、春を告げる行事である「比良八講」を見学し、春の到来を感じに行ってきました。

 

比良八講荒れじまいとは

毎年3月下旬ころ、寒気がぶりかえし、比良山から突風が吹き荒れることがあります。
この突風は湖国滋賀県に本格的な春の訪れを告げる季節風で、いつもは穏やかな琵琶湖の湖上も大しけとなります。

これを「比良八講荒れじまい」と呼び、長い冬の終わりと春の訪れを告げる自然現象とされてきました。

 

比良八講の由来

かつて比良にあった天台宗の寺院で、法華経を講読する法華八講とよばれる法要が営まれていました。
この法要は比良山からの突風により天候が荒れる時期と重なっていたことから、比良八講と呼ばれるようになったそうです。

比良八講は、滋賀・京阪神の水がめである琵琶湖への感謝、その水源である比良山系の保全、琵琶湖の水難者回向と湖上安全を祈願する法要です。
毎年3月26日に、琵琶湖の西岸にある景勝地・近江舞子で執り行われています。

 

昔より恐れられていた比良おろし

「比良八講荒れじまい」を含め、若狭方面から比良山地の南東斜面を琵琶湖側に駆け降りる局地的な強風は「比良おろし」とも呼ばれています。

比良おろしが吹くと、いつもは穏やかな琵琶湖の湖上も荒れ、交通や農業、漁業に影響を及ぼすこともあります。

みなさん「急がば回れ」という言葉はご存知ですか。
実はこの「急がば回れ」の語源には、この「比良おろし」と千紀園があります草津市に関係があるんです。

「急がば回れ」とは、室町時代の連歌師宗長が、
「もののふの 矢橋の舟は早くとも 急がば回れ 瀬田の長橋」
と詠んだことに由来すると言われています。

矢橋とは草津市にある矢橋(やばせ)港のことを指し、瀬田の長橋とはお隣の大津市瀬田の唐橋(からはし)のことを指します。

当時、東海道を旅する人々には、琵琶湖を東西に渡るには2つのルートがありました。
1つは草津の矢橋から大津まで湖上を船で一直線に横切る「海上ルート」、もう1つは徒歩で唐橋まで遠回りする「陸路ルート」です。

矢橋・大津の間を行く渡し船は一見近道のようにみえますが、比良おろしの影響などを受けて船が転覆する危険があります。

瀬田の唐橋を回るほうが、距離は長くても危険が少なく確実であることから、急ぐのであれば、多少の遠回りでも着実な方法をとるように戒めたものです。

比良おろしは湖西地域だけでなく、対岸の草津の方まで影響を及ぼしているんですね。

 

第68回 比良八講法要に参加しました

2023年3月26日(日)。
前日までの暖かさはどこへいったのか、まさに「比良八講荒れじまい」に相応しい冷たい雨風とともに比良山系の霧や霞がかった湖上が独特の雰囲気を醸し出す中、比良八講法要が執り行われました。

まず最初に、近江舞子観音石像前にて比良八講法要が行われ、雄松崎の砂浜まで山伏、僧侶、そして稚児娘からなる壮厳な行列が練り歩きます。

湖岸の東屋に到着した一行は水難者回向法要、湖上安全・湖水清浄祈願、水源感謝法要を行い、その後船出の儀へ移ります。

船出の儀とは湖上に紙塔婆を流して水没者の霊を慰める儀式で、法水を注いで湖水の浄化祈願をされます。

 

続いて、湖岸より内湖に面した薩摩道場へ移動し、「山伏問答」の後に護摩壇に点火し、「採燈大護摩供」が執り行われます。
参加者は結界の周りに頭を垂れしゃがみ、阿闍梨より数珠加持を受けられます。

最後は通常であれば餅まきやぐらにて餅まきが行なわれるそうですが、あいにくの天候の為、お餅を配布頂き、比良八講を終えました。

 2023.3.28

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